AmazonのKDPといえば、電子書籍を個人で手軽に作成・販売できるシステムとしてすっかりお馴染みですね。
そして2021年10月19日、ついに! 紙書籍の出版も可能になりました!
もちろん出版費用は一切かかりません。無料です!
というわけで、私は過去に制作・販売した電子書籍を紙媒体でも全世界に販売することを決意。
紙書籍の出版が可能という情報を手にしたその日のうちに販売申請を出して見事出版に漕ぎつけた経緯をレポートします!
1.過去に発売したKindle写真集を紙書籍で売ることに
・自分で紙書籍を出版するのが完全無料の時代に!
かつては自分で紙書籍を販売しようとすれば(自費出版)、数十万円あるいは百万円以上の費用がかかるのが一般的でした。
そんな時代の終焉はいきなり来ました。
いつかはそういった時代が来る…とは思っていましたが、まさか今来るとは! 私たちは素晴らしい時代に生まれついたものです。
出版の概念が根本から再構築される可能性もある今回の事件。私は先陣を切るべく、この事件の渦に入り込んでいくことを決めました。
・すでに販売している電子書籍(写真集)を紙で出版する
長年「電子で出している作品を紙媒体でも出したいな…」という思いで過ごしていた私は、過去にKindleで発売した『漫画家の仕事場』という写真集を記念すべき紙書籍発売第一号作品に選びました。
この作品は、現代日本において大活躍中・大人気漫画家である皆様の仕事場に潜入して写真撮影したものを集めた私にとって非常に大切な作品。
漫画家の山地ひでのり先生、小西真冬先生、栗田あぐり先生、ムラタコウジ先生。加えてマンガライブペインターの内田慎之介さんを紹介した自信作です!
・ロイヤリティなどに関して
ところで紙書籍の出版といえば気になるのは、やはりロイヤリティの件でしょう。
電子書籍の場合、Kindleは定価の35%か70%のロイヤリティを選んで、基本的に自分で価格を自由に決めることができます。
紙書籍の場合はどうなるのかというと…。
希望小売価格の60%です。
商業出版では著者に支払われる印税が10%前後なので「スゴイじゃん」と思われるでしょうが、個人出版なので売れる可能性はグッと下がることだけは肝に銘じておいてください…。
しかも、です。
オンデマンド出版という性格上、印刷代は取られます。
私の写真集の場合、カラー写真集ですので割高という側面もありますが…。
149ページで印刷代は771円でした。判型によって違ってはくるでしょうけど。
さすがに世の中は甘くありません。
2.新しいデータ作成は表紙だけ
・本文ページは電子書籍のデータを使う
電子書籍の内容をそのまま紙書籍にも適用する方式で制作したので、新しくデータを作らずに、電子書籍のそれを使用しました。
さほど大きな判型ではないので写真の解像度的な問題もクリアするであろうという考え。
・表紙の作り方
表紙に関しては、新しくデータを作る必要はありました。
電子書籍と違い、紙書籍の場合は背表紙と裏表紙が必要だからです。
寸法などKDPのサイトをよく見てじっくり作り込んでいきましょう。
3.販売申請。すぐに発売される
・価格設定を考える
電子書籍と同じく紙書籍の場合でも価格設定はちょっと考え込む問題です。
電子の場合どのような価格設定でも利益が出るようになっているはずですが、ここで注意したいのは今回の紙書籍出版において「最低希望小売価格」などをそのまま設定してしまうと印刷代で利益がゼロになる場合があるのです。
少しでも利益を出そうということならばしっかり設定しましょう。
私の場合は↓このような設定にしました。
・希望小売価格 1800円(税込1980円)
・印刷代 771円
・ロイヤリティ 309円
・販売申請が通るとすぐに購入可能に
販売申請をして数時間経過。無事に申請は通りました。するとすぐにAmazonのサイトにて購入可能状態。
輸送時間を考えるとさすがに電子に負けるとはいえ、このスピード感はシビれますね!
4.注文二日後に自宅へ到着! できばえは…!?
・オンデマンド印刷なのでプライム会員でも少し到着に時間はかかる
Amazonプライム会員だと当日配達や翌日配達などの恩恵を受けられます。私の場合、午前四時くらいまでに注文すれば当日に商品を受け取れる地域に住んでいます。
しかしKindle紙書籍はオンデマンド出版。注文を受けてから印刷するというだけあって、自宅に届くのは注文の二日後です。
とはいえ許容範囲…! さすがはAmazon。かなり頑張っていると思います。
そして助かるのは、自著の在庫を抱える心配がないこと。赤字に陥る心配がないこと。何よりも救いです。
・完成度にAmazonの本気を見た!
そして配達された自分の記念すべきAmazon独占販売写真集を開きます。
さて…できばえのほどは…!?
おお!かなりの高クオリティー!!
これなら税込1980円の価格でも購入者様からクレームが来ることはないはず…ないんだ…ないと言ってくれ…!!(申し訳ありません。取り乱しました)
まとめ
以上、簡単にAmazonのKDP紙書籍出版についてのあらましをお伝えしました。
結論から言えば…原稿などのデータを持っている方ならば、実行しない理由が見当たらない! というくらい素晴らしいものだと思います。
メリットとして
・簡単に作成できる
・商業出版より高い割合のロイヤリティを受け取れる
・在庫・赤字を抱える心配がない
・電子書籍よりも「本」としての充実感・信頼感がある
などが挙げられます。
デメリットは…やはり電子書籍と同じく商業出版と比べた場合、売り上げを出すには個人的に地道な宣伝活動をしていくしかない…ということです。組織に頼れないツラさはありますね…。
とはいえ、大きな革命ともいえるAmazonのKDP紙書籍無料出版。
出版界は新たなるフェーズに入った感があります。
「電子書籍は苦手」「電子書籍著者は胡散臭い」という思いだった皆様におかれましても、これを機に「紙書籍の出版」にトライしてみることを強くオススメします!!