【連載】有名人の愛読書
第1回 スターリン
今回からしばらく、連載として「有名人の愛読書」というテーマで記事を書いていきたいと思います。
政治家、経済人、作家、芸能人、アーティスト、アスリート、そのほか多くの人物を取り上げていく所存です。
さて、第1回は旧ソ連の指導者だったヨシフ・スターリンの愛読書や読書生活についてです。
「最初からずいぶん濃い人物だなあ…」と筆者自身が少しあきれ気味になっていますが、現代世界史における重要人物であることは間違いないですし、つい最近『スターリンの図書室』という書籍が話題になったこともありますのでご紹介します。
スターリンとは?
ヨシフ・ヴィッサリオノヴィチ・スターリン(1878年12月18日(ユリウス暦12月6日) - 1953年3月5日)は、ソビエト連邦の政治家[1]。同国の第2代最高指導者 (1924年 - 1953年) [2][3]であり、 ソビエト連邦共産党中央委員会書記長(1922年 - 1934年)、ソビエト連邦人民委員会議議長・ソビエト連邦閣僚会議議長(1941年 -1953年)、ソビエト連邦国防人民委員・軍事大臣(1941-1945)などの役職を歴任し、ソ連邦英雄の称号を持ち、軍人としての最終階級はソ連邦大元帥である。民族的にはグルジア人。
1924年1月から1953年3月に渡って同国の最高指導者であった。一般に広く知られている「スターリン」という姓は「鋼鉄の(人)」[注釈 5]を意味する筆名であり、本名はヨシフ・ヴィッサリオノヴィチ・ジュガシヴィリ。
(ヨシフ・スターリン - Wikipediaより引用)
スターリンの愛読書
膨大な蔵書
スターリンが死去したとき、彼が所有する書籍・雑誌・小冊子の総数は約2万5000に達していたそうです。
これだけだと、単に権力にあかせて本をそろえた「蔵書家」に過ぎないかもしれませんが、スターリンは読書ガチ勢。本を読むことに燃える政治指導者だったようです。
一日の読書量は300ページあるいは500ページという説があります。ソ連邦の最高権力者として決して時間が余るとはいえないなか、かなり読んでいるほうではないでしょうか。
読書好きは少年時代からだそうで、食事のときも本を手放さなかった「本の虫」でした。
好みのジャンル
「若いときは聖書を最も熱心に読み、内容を考察(のちに教会に敵対的となる)」
「一番のお気に入りは歴史で、その次はマルクス理論、小説という順番だった」
(『スターリンの図書室』より引用)
歴史が好きな政治家はかなり多いですね。スターリンの同時代の政治家だと、英国首相だったウィンストン・チャーチルや中国の毛沢東などがいます。スターリンは、歴史マニアという共通点があるチャーチルを高く評価していたようです。
歴史
スターリンは、ドイツの鉄血宰相・ビスマルクを尊敬していました。ビスマルク政治の「現実主義」「実用主義」「戦術の柔軟性」に惚れ込んでいたとか。
そして、ギリシア史やローマ史などの古代史を特に好みました。
マルクス理論
マルクス、エンゲルス、レーニンの著作といった定番はもちろんむさぼり読み、トロツキーなどの政敵の著作もたくさん読んでいたそうです。しかも、しばしば賞賛さえしました。
小説
スターリンは、ロシアや外国の小説も熱心に読んだそうです。
トルストイ、ドストエフスキー、ゴーゴリ、チェーホフ、シェイクスピア、セルバンテス、シラー、ハイネ、ユーゴー、サッカレー、バルザックなど。
スターリンの読書法
本への書き込みが多かった
スターリンは読書の際、多くの書き込みをしました。
「ハハ」「でたらめ」「無意味」「くず」「ばか」「下劣」「ろくでなし」「むかつく」などという軽蔑の言葉。
「そうだ、そうだ」「同感」「良し」「的中」「その通り」といいった讃嘆の言葉。
そして「ふむ、そうかな」と困惑しつつも吟味を試みる姿勢を髣髴とさせたり。「本当か?」「間違いないか?」とも。
ただ、あらゆる書き込みをしたスターリンも、小説などにはほとんど書き込みはしませんでした。
「三色ボールペン」活用の元祖?
スターリンは読書中、青・緑・赤の色鉛筆で本にしるしをつける習慣がありました。
日本で一時期流行した斎藤孝氏の、三色ボールペンを使った読書法の元祖か? と一瞬考えましたが、単なる偶然と思われます。
まとめ
晩年は別荘を図書館のように(蔵書を細かく分類)していた読書家・スターリン。
その几帳面さや学問への熱意、そして文学を愛するロマンチストな傾向からかけ離れた
政治手法(主に政敵・反乱分子の粛清)は、今でも考えるだけで恐怖であり謎です。
しかし人間の心理は複雑怪奇で、何が正しいのかも時勢や為政者によって変わるという
ことを後世に伝える大きな存在であることは間違いないでしょう。