2022年8月11日。精彩を欠く状態が続く岡本和真に代わり、日本ハム時代に1244試合で四番打者を務めた中田翔が、巨人の第91代四番打者となった。
長い歴史を持つ巨人軍の「四番」。
今回の記事では巨人91人目の四番打者誕生を機に、成績データをもとにした筆者の分析により「巨人軍最高の四番打者」を探していきたい。
巨人軍歴代四番打者の成績
四番出場試合数
(数字は2022年8月22日現在まで)
- 1位 川上哲治 1658試合
- 2位 長嶋茂雄 1460試合
- 3位 王貞治 1231試合
- 4位 原辰徳 1066試合
- 5位 岡本和真 590試合
- 6位 A.ラミレス 511試合
- 7位 阿部慎之助 505試合
- 8位 松井秀喜 470試合
- 9位 中島治康 410試合
- 10位 落合博満 331試合
- (参考記録)11位 清原和博 297試合
昭和において時代を背負った四番打者四人が、1000試合以上四番としての出場を果たしている。
その圧倒的数字の次につけているのが岡本だ。現段階では「令和の巨人軍四番打者」といえば岡本和真…ということになるだろう。
意外にも平成時代は、松井秀喜をおさえてA.ラミレスや阿部慎之助の四番出場が多いことだ。
四番出場試合打率
(四番出場試合数トップ10入りした者が対象)
- 1位 松井秀喜 .322
- 2位 川上哲治 .317
- 3位 王貞治 .315
- 4位 長嶋茂雄 .314
- 5位 A.ラミレス .308
- 6位 落合博満 .292
- 7位 阿部慎之助 .287
- 8位 中島治康 .283
- 9位 原辰徳 .279
- 10位 岡本和真 .276
ここでは「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治を大きく引き離して松井がトップ。四番打者として.322の打率を残したのは驚嘆すべき偉業だ。
原と岡本の師弟(?)は四番打者としては若干寂しい数字となった。
ちなみに、通算打率より四番出場試合打率が高いのは、松井・川上・王・長嶋・ラミレス・阿部・中島の七人である。四番を任されることにより打率が上がった面々だ。
四番出場試合本塁打数
- 1位 王貞治 392本
- 2位 長嶋茂雄 314本
- 3位 原辰徳 255本
- 4位 川上哲治 162本
- 5位 岡本和真 146本
- 6位 A.ラミレス 139本
- 7位 松井秀喜 138本
- 8位 阿部慎之助 97本
- 9位 清原和博 67本
- 10位 落合博満 48本
やはりというか、ON砲が強かった。
岡本は、松井やラミレスといった平成の大四番打者を抜き、川上の記録も射程内に捉えている格好。
ここで「四番打者としての本塁打率」も算出すると、トップは王の0.32本。これは、三試合に一本は本塁打を放っていることになる。何から何まで別次元の選手だったといえよう。
他の選手を見ると、岡本が0.25。原の0.24をわずかに上回っている。
四番出場試合本塁打数ランキング10位以内に入った選手たちは、すべて通算本塁打率より四番出場試合本塁打率が上回り、四番を任されて本塁打を放つ率は上がったようだ。
結論
「巨人軍史上最高の四番打者」は、総合的に判断すると王貞治ということになるだろうか。
正直、難しい問題ではある。四番打者という存在は、数字だけでの判断ではなく精神的にチームの打線を象徴する側面もあるからだ。それゆえ、長嶋茂雄が史上最高の四番打者と考えることもできるし、原辰徳・松井秀喜の名を挙げたいファンも多いはずだ。
しかし今回「プロは結果がすべて」という視点で判断することにしているので、やはり王貞治を巨人軍史上最高の四番打者としたい。
細かく分けるならば、昭和は王、平成は松井、そして令和は岡本和真といったところだろう。
さて今は2022年8月。
中田翔が四番打者として結果を出して、巨人打線の新しい顔となるのか。
岡本が調子を取り戻し、四番を奪還して生え抜きの意地を見せるか。
はたまた新たな若い勢力が台頭するのか。
節目の第100代四番打者を見てみたい、という先走った気持ちもあるが、今はとにかく巨人の強い四番打者が見たい。