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前健雑記

漫画家を志すも夢破れたライターの40代「半隠居」男による雑記

内田慎之介インタビュー 2020年版(第2回)

 

 

「マンガライブペインター」としての内田慎之介への質問


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内田慎之介(2018年撮影・禁無断転載)


  

――今から100の質問をします。

 

内田 ええっ!?(笑)

 

――いや、100はねぇや(笑)80くらいかな? まあ、それほどややこしい質問はないから、気楽にサクサク答えていただければと。

 

内田 分かりました。

 

――まずは「マンガライブイペインター・内田慎之介」について、それにまつわる質問などをしていきたいと思います。

 

内田 はい。

 

――朝はだいたい何時に起きますか?

 

内田 ハハハッ。朝??(笑)

 

――凄いでしょ? いきなりこの質問は(笑)

 

内田 朝はだいたい9時くらいですね。

 

――お、意外に早いですね。

 

内田 そうですね。昼夜逆転はしていないので、8時から9時には起きます。

 

――じゃあ次に、ストレス解消法って何かありますか?

 

内田 ストレスはあんまり感じないほうなんですけど…美味しいものを食べる。食べたいものを食べる。

 

――マンガなどのアイディアを考える場所はどこですか?

 

内田 決まった場所はないですね。移動中とかに出てくることがありますね。電車の中でとか。あと、他の何かをしているときに。固定の場所はないです。

 

――アイディアノートやネタ帳などはあります?

 

内田 ないです。

 

――ほう。アイディアに行き詰まったときはありますかね?

 

内田 マンガライブペイントに関しては行き詰まったことはないですね。

 

――凄い。ところで、内田さんはマンガライブペインターであると同時に漫画家でもあります。最初に漫画家になろう、と思ったきっかけはありますか?

 

内田 大友克洋になりたかった!(笑)

 

――なるほど(笑)なりたかったんだ!

 

内田 大友克洋の絵を描きたかった。あれを描きたかった。あれぐらいのものを描きたかった。

 

――もう、一種の挑戦というか…。

 

内田 そうですね。

 

 

*大友克洋…漫画家、映画監督。1954年生まれ。彼の手による圧倒的な画面構成で作られた漫画は、後進のクリエイターの多くに大きな影響を与えている。代表作『AKIRA』は、内田慎之介のバイブルのようなもの。

 

 

――じゃあ、漫画を描いていなかったら今は何をしていると思いますか?

 

内田 えー?(笑)普通に会社員…。普通に働いていると思います。

 

――何か印象に残るファンレターなどはありますか?

 

内田 凄い昔に…8年くらい前に、戦国ファッションイラストみたいな商業誌のイラストの仕事をしたんですよ。

 

――ああ、あれか!

 

内田 で、発売からかなり経っているわけなんですけど、つい2年くらい前にファンレターが来ました。

 

――あら!

 

内田  出版社経由で封筒が届いて「何だろう?」と思って見たら「内田慎之介様宛」と、手書きの手紙が入ってて。たぶんね、小学生か中学生くらいの子。返事は出していないんですけど…。

 

――(笑)

 

内田 ビックリしましたね。すごい嬉しかったです。

 

↓ *これが例の『戦国ファッション図鑑』 

 

 

――資料に関して聞きたいんだけど、どんなものを使ってますか?

 

内田 最近は「Pinterest(ピンタレスト)」というアプリですね。それは「花」とか、いろんなカテゴリーに分けられていて、いろんな写真が見られるんですよ。今は花の絵をよく描くので「花」とか「ブーケ」とか探すと、ネット上にあるものが全部出てくるんです。

 

――へえ! 知らなかった。

 

内田 「Pinterest」は、絵を描く人は知っておいた方がいいと思います。私も最近教えてもらって、今使ってますね。

 

――おお。さっそくダウンロードしてみます。

 

内田 あと、核施設かなんかの実験場みたいなものの資料集というか写真集を持っていて、それを参考にして描くときがありますね。

 

――それは内田さんの作品の雰囲気を出すのに重宝しそう。あ。最近、文字のデザインをするのに何か資料を使ってなかった? 内田さんのSNSか何かで見かけたような…!

 

内田 あー! 使っているよ! 今持ってくるよ! …これ、めっちゃいいんですよ。

 

――おお、良さげ!

 

内田 これがすごい高価らしくて…たぶん1万円ちょいかな? お知り合いにハンコを彫る人がいて。昔の実印って昔の字を使うじゃんね?

 

――なんか…篆書(てんしょ)みたいな??

 

内田 そうそう。それの資料の本なんですよ。で、これを「要らない」っていうことでくれたんですよ。私がたまたま、文字をデザインすることに興味があると話したら、くださったんです。専門店にしか売っていないような本ですね。

 

――確かに一般的な書店には置いてなさそう。

 

内田 1983年に出版されたものです。

 

――内田さんが生まれる前のものですな(笑)

 

内田 生まれてないですね(笑)

 

――これはカッコいいなあ。では次に、こだわりの漫画道具はありますか?

 

内田 迷うね…(笑)丸ペンとカラス口。

 

――丸ペンはずっと使っているけど、他にGペンとかを使ったことはないの?

 

内田 使ったことないです。

 

――マジ?

 

内田 使おうと思わないです。特に。

 

――それは、大友先生が丸ペンだから自分も丸ペンで、ってことなの?

 

内田 そうです。もともと漫画の知識がないというか、ほぼ独学なので違いが分からないんですよ。Gペンと丸ペンと他のものと…。丸ペンに慣れちゃったので、これから他のペンを使う気はないです。

 

*丸ペン…一般的にGペンと比べて細い線が描けるので背景などの描写に使われやすいが、それなりに太い線も引ける。使い方は人それぞれである。内田慎之介と同じく丸ペンを主に使っている大友克洋は「なかなか言うことを聞いてくれないペン」と評している。

 

――漫画家アシスタント経験ってあったっけ?

 

内田 ないです。断りました。

 

――あ、一応「やってみない?」みたいなことが。

 

内田 出版社に漫画の持ち込みをしていたときに、アシスタントをやらないか? みたいなことは言われましたけど「絶対にイヤです」と断りました。

 

――絶対にイヤだったんだ(笑)

 

内田 絵柄が似るのがイヤだし…家で漫画を描いて、仕事先でも漫画を描くのがイヤでしたね。仕事は漫画とは違うことをしたかったので。気分転換というわけではないんですけど、そのときは別のバイトとかをしたかった。アシスタント先の漫画家さんの影響を受けるのがイヤでしたね。

 

――なるほど。マンガライブイペインターになって得したなぁ、って思ったことってありますか?

 

 内田 海外へ行ける(笑)

 

――海外へ行ける! なるほどね(笑)

 

内田 海外に行ける! 行けた!(笑)

 

――海外で一番良かったところはどこですかね。

 

内田 スペイン。気候も建築物も料理も、すべてが素晴らしいです。

 

――逆に二度と行きたくない、と思う場所は? 国内外問わずでいいけど…。

 

内田 ないですね。特に頭に浮かばないです。今のところはないです。 

 

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(2016年撮影・禁無断転載)

 

――マンガライブイペインターとして「やっていける!」と確信を得たのは、いつですか?

 

内田 海外に初めて行ったときですかね。

 

――海外に行って「認められた感」がグワーッと。

 

内田 そうですね。海外に行って外国の方々の反応がすごい良かったのが。

 

――ウケるとね、やっぱり良いよね。

 

内田 ウケがいいと本当に。反応が良かったときが。他に誰もやっていないというのがデカいと思います。

 

――デカい。それは本当にデカい。

 

内田 デカい。

 

――では、マンガライブイペインターとして最大のピンチがあったら教えてください。

 

内田 うーん、そこまでピンチというわけではないんですけど…ドイツでのマンガライブペイントのときのキャンバスがメチャクチャ粗くて、マッキーがどんどん潰れていったときですね(笑)

 

――マッキーが潰れる!(笑)

 

内田 そう(笑)素材がザラザラすぎて、マッキーのペン先がボロボロというか、削れてなくなっていくんですよ。それで「うわー」ってなったんですけど、まあなんとか終わりましたけど。何本かマッキーが死んじゃいました。

 

 

 

 

――ところで、締め切りは守るタイプ?

 

内田 守る。絶対に守る。

 

――辞めたいと思ったことはある?

 

内田 ん? 何を?

 

――マンガライブイペインターを。

 

内田 ないです。ない。一回もないです。

 

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(2019年撮影・禁無断転載)

 

――職業病とかはありますか?

 

内田 マンガライブペイントに関しては特にありません。全然違う仕事をしていたときのことでいいですか?

 

――ええ、どうぞ。

 

内田 吹き替えの台本の会社にいたんですけど、そのときの癖で…映画を普通に観に行ったときに最後にエンドロールが流れるじゃないですか?

 

――はいはい。

 

内田 あのときに、翻訳とかの会社名を見ちゃう。音響とか。吹き替えの制作チームをすごく気にして見る(笑)「ああ、ここかあ」みたいに。制作をすごく気にしちゃいますね。

 

――同業他社などを見てしまうと(笑)

 

内田 はい(笑)

 

――さて。内田さんにとって「内田慎之介ファン」の存在とは?

 

内田 神(即答)。

 

――神…!

 

内田 神! ファン・イズ・神! Fan is God !!

 

――God !! …ジャスティス! 

 

 

Maeken's Column 

「ファンは神」ときっぱり語る内田慎之介。そこには、旧態依然の、いかにもなアーティスト然とした驕りはない。

 

かといって「お客様は神様です」と高らかに謳ったかつての国民的歌手・三波春夫…昭和…前世紀的…というアナクロニズムとは、また少し違う。

 

内田はアーティストであると同時に、エンターテイナーとしての自負があるのだろう。アートとエンターテインメントを両立させるための精進を重ねている者だけがたどり着く境地に達しているのだ。

 

だからこそ、内田ファンはもちろん、漫画関係者などの間でも筆者の知る限り彼女を悪く言う者は皆無だ。人間としての徳の高さ・バランス感覚の良さもまた内田慎之介を一流のクリエイターたらしめていると筆者は思う。

 

 

次回は、ファンならば気になるであろう「内田慎之介のプライベート」についての質問をぶつけてみた結果をレポートする。

 

 

 続けて第3回もどうぞ。

daemax-maeken.hatenablog.com

 

 

 

 合わせて読みたい前回の記事はこちら。

daemax-maeken.hatenablog.com

 

 

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