はじめに
内田慎之介は、負けない
世界初・唯一のマンガライブペインターであり、海外での注目度も急上昇中の内田慎之介。
これまでに、まとまった形での活字によるインタビュー記事がほぼないことに気づいた私は、内田のロングインタビューを企画するに至った。後世に「2020年の内田慎之介」の談話を残しておくということは、大きな意味があると感じたのだ。
過去に下記のような、結論としては「秘すれば花」という主旨の記事を執筆したが、今回は徹底的に内田慎之介という稀代のアーティストを深く掘り下げることにした。
しかし世界中で新型コロナウィルスが猛威を振い、日本とて例外ではなく、政府は2020年春に緊急事態宣言を出した。
そのさなかである5月4日。国による外出自粛要請により、直接に内田慎之介と対面してのインタビューは難しいと私は判断。内田に「zoom」を使ってのオンラインインタビューを申し込み、了承された。
内田は前日に「内田DAY」と称した、ゲーム・作画・酒飲みフリートークなどの12時間に及ぶネット配信を遂げた。その余韻が醒めやらぬなかではあるが、疲れた様子をまったく感じさせず、快くインタビューに応じてくれた。
新型コロナウィルス渦により世界中の人々の活動が大きく制限されているなかで、内田のマンガライブペイントも一旦ストップがかけられてしまった格好だが、そういった状況でも彼女のクリエイター・アーティストとしての活動は地道ではあるが確実に進められている。
内田慎之介の熱気を感じ取った貴重なインタビュー
インタビューは、互いに自宅に居ながらのものということで、終始リラックスした雰囲気でおこなわれた。
内田はラジオパーソナリティーという顔も持っており、一流の話術をもって私の質問に対し淀みなく軽やかな調子で返答してくれた。もちろんアーティストとしての情熱を帯びた、実に率直・真剣な言葉で。「インタビューでの率直さや正直さは、そのアーティストの才能に正しく比例する」という言葉どおりである。
読者諸氏には、広く内田慎之介という存在を知ってもらい、彼女の魅力を少しでも感じ取っていただければ筆者としてこれ以上の幸せはない。
以下、内田慎之介へのインタビュー記事を掲載するが、なにしろ分量が多いので数回に分けてお送りする。何卒ご容赦いただきたい。
内田慎之介の近況
2020年の海外遠征について
――レコーダーは一応、40時間連続して録音できるんだけど…そこまで長時間やらないから。
内田慎之介(以下・内田) やらないよ!(笑)
――まあ、やらないよね(笑)
内田 まあ、やらないですよ。死んじゃう。
――それでは、よろしくお願いします。はい。
内田 よろしくお願いします。はい。
――今年はドイツに行くはずだったんだよね?
内田 はい。その予定だったんですけど。行く予定だったイベントは9月に延期になって。まあ9月も難しいかもしれないんですよね。でも、やっぱり行けるなら行きたいです。
新型コロナウィルスへのカウンターパンチ
――最近の内田さんは「新型コロナウィルス感染症拡大防止活動基金・アーティスト支援企画」ということで、Art Street TokyoさんのTシャツ販売の旗振り役みたいなことをされていますけれども、これは…?
内田 旗振り役というか、もともとは去年の11月に出たデザインフェスタで声をかけてくださったTシャツの印刷会社の方が立ち上げたプロジェクトなんです。そこからお声がかかって私が一応…私が主導ではないんですけど、印刷会社の方があまりSNSをやっていなかったので。私が活動を結構やっていたので、とりあえず私が発信して、って感じですね。
――まあちょっと先陣を切ったという感じで。うまく広まってるようで良いですよね。
内田 そうですね。知り合いのアーティストさんにもTwitterやLINEで声をかけたりして。そこから拡がっている感じなので、だいぶありがたいですね。
――素晴らしいですよね。
内田 すごく良いプロジェクトですよね。
――社会的にも意義があるしね。アーティストさんも助かるし。
内田 そうですね。アーティストは基本Tシャツを作ると、印刷代とかボディ代とか結構払うものが多いんですけど、今回の企画だとアーティストは何も払わない。払うものがない。絵を提出するだけで、そのデータで印刷会社さんが全部やって、売り上げの10%が寄付になって、35%がアーティストにバックで入って、残りが印刷会社さんに入るというシステムなので。アーティストにとってはすごくいいと思いますね。
――皆さんに良い感じで幸せが分散されていくというか。よろしいよね。
内田 うん。皆にとってプラスになって。
――うん。素晴らしい。
内田 そう。いい案だと思います。
トップランナーの使命
結果的には内田が広めている「新型コロナウィルス感染症拡大防止基金・アーティスト支援企画」。この活動は、1985年にマイケル・ジャクソンによる、全米の有名ミュージシャン総勢45名を集めておこなったアフリカ飢餓救済のためのチャリティーソング『We Are The World』の成功を連想させる。
USA For Africa - We Are The World (official Video)
やはり、時代の先端を走る者、時代を背負って生きるアーティストには、共通する思考や行動、あるいは使命があるのだろうか。
次回からはいよいよ「マンガライブペインター」としての内田慎之介について、様々な角度から質問攻めにした記事をお送りする。
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